Jewels
何かを耐えるような翠玉の背中に、琥珀は大きな声で語りかける。


「翠玉!俺は、お前の幸せを願ってるからな。」


翠玉は立ち止まったが、振り返りはせずに皮肉めいた声で返した。


「姉様の間違いでしょ。」


翠玉には確信に近いものがあった。
そう、琥珀が祈っているのは、翠玉の幸せより、むしろ…

琥珀は否定するように呼び止める。


「翠玉。」

「安心して。琥珀。私だって、もちろん姉様の幸せを願っているわ。」


呼び止める琥珀の声を遮るように、翠玉が言い放った。

声が、震えていた。

琥珀は思わず言葉を続ける。


「翠玉。想いは通じるとは限らないし、欲しいものは必ず手に入るとは限らない。王族の身分であってもそれは同じだ。幸せになるためには、諦めなきゃならないこともあるんだ。」


翠玉は、返事をせずにその場を立ち去った。
解りきった事実を聞きたくないと耳をふさぐかのように。

薄暗い部屋にひとり取り残された琥珀は、自分が翠玉に思わず言った言葉に対して、自嘲気味につぶやいていた。


「『想いは通じるとは限らない、欲しいものは手に入るとは限らない』…自分に言い聞かせてんじゃねぇか…。」




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