この手をぎゅっと、離さないでね?
「俺が仙崎をぶっ飛ばしてやるなんか言ったからだろ」
「まぁ言ってたけどね…。でもそれが、どうして、光琉くんのせいになるの?」
「だからお前は、俺を止めようと立ち上がったりしたんだろ!」
「うん、だってケンカしてほしくないんだもん。でもだからって、光琉くんのせいじゃないよ」
そもそも私が、膝の上のお弁当の存在を忘れていたのが悪いんだし…。
「光琉くんはトイレで手を洗ってきなよ。あとは私が片付けるから。ありがとうね」
小石がついたご飯や卵焼きを、乱雑にお弁当箱に戻していると。
左の頬にちくちくと、光琉くんの視線が突き刺さってくる。