この手をぎゅっと、離さないでね?
「あれ?行かないの?」
「いや……あかりと一緒に行く」
あ、私のこと待っててくれてるんだ?
片付ける手を早めて、みっちゃんに手を洗ってくるからちょっと待っててね、とお弁当を預けて…。
ひとあし先に歩きだした光琉くんのあとを、走って追いかけた。
こんなとき、屋上にも洗面台があれば便利なのになぁ。
わざわざ階段をおりて、トイレに行かなきゃ手を洗えないんだからめんどくさい。
「はい、光琉くん。私のハンカチ使っていいよ」
から揚げの油がついていた手を洗ってトイレから出ると、すぐのところで光琉くんが私を待ってくれていた。