この手をぎゅっと、離さないでね?



隙間なく、重ね合わされた唇。

前の軽く触れるようなキスとは違って、しっかりとした感触の残るキスだった。



「ちょっ……ちょっと洋くんっ。誰かに見られたらどうするの?」

「大丈夫だって、みんな授業中じゃん?」

「だからって…!」

「今のじゃ足りねぇなぁ…。もっかいしてもいい?」



ぐっと顔を寄せた洋くんの熱い吐息が、唇にかかる。



ドキッ、と胸がいっそう激しく揺れ動いた。

ドッドッドッ、と小刻みな脈をうつ。



「だっ……だだだだダメっ!誰か来るかもしれないでしょっ!」



焼けるように熱くなった顔を、バッと勢いよく背けた。


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