この手をぎゅっと、離さないでね?



「んだよそれ…。前にも手ぇ出されてんじゃん。なんで俺に黙ってたんだよ」

「それは……言うとケンカになると思ったから…」

「まぁなるわな。フルボッコだな。でもそのときにちゃんと知ってたら、今回のキスは防げたかもしんねぇだろ」



私へ向けられた、怒りのこもった声。

その冷たい目からも、怒りがひしひしと伝わってくる。



「ほんとに……ごめんなさい。私、洋くんと光琉くんに仲直りしてほしいなって思ってたから…。だから、ケンカの種になるようなことはしたくなかったの」



我慢していた涙が、はらり、と膝の上にひと粒こぼれ落ちた。



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