恋してる女の子って最高に可愛い





「樋口くん…」




「美羽、どうした…?」




「お父さん、私の思った通りの人だった」




「そうだな」




私は声を押し殺してお店に迷惑がかからないよう樋口くんの腕の中で泣いた。




私は思った通りのお父さんで嬉しかったのだ。




「落ち着いたか?」と下から顔をのぞき込んで言ってくる。




私、メイクしたまま泣いてたんだもんね。




絶対顔ひどいことになってる……。




「み、見ないで……!」と、とっさに手で顔を隠した。




「なんでだよ、俺は気にしないぞ」と顔を隠した手を外される。




「私が恥ずかしいの」と言うと、




「美羽はよく頑張ったよ、えらいえらい」と頭を撫でながら褒めてくれたのだ。




「反則…じゃない……?」と思わず聞いてしまった。




「なにがだよ?」と当たり前のように疑問で返される。




「ううん、樋口くんありがとう…」




「いいよ」




落ち着いた私はトイレに行ってメイクを直した。




「ごめん、お待たせ…」




「じゃあ帰るか」




「うん、帰る」




帰ってる途中やっぱり手を繋いでくれた。




迷子にならないため?安心させるため?それとも……樋口くんが繋ぎたいとか…?




「そんなことないよねっ……」と小声でつぶやいた。




「そんなことないってどうした?」




「ううん、どうもしてないっ気にしないで」




「そうか」




家に着いた。




「今日はありがとう、樋口くんまた明日ね」




「ああ、また明日」




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