借金取りに捕らわれて 2

「………」

「秋庭さん、何があったのかは分かりませんが落ち着いて下さい。」


大きい声ではないけれど、強めに発した私に、後ろから雪斗君が優しく声を掛けた。


「ヒロさん、僕が悪いんです。ヒロさんを朝ごはんに誘いに来ちゃったから、怒らせてしまって…」


本当に?秋庭さん、それで雪斗君の胸ぐらを掴んだの?

秋庭さんの表情を見るに、それ以上の何かがあったとしか思えない。





***************





それから私は直ぐに雪斗君を帰らせ、秋庭さんを部屋へと上げた。

「あっ、足元気をつけて下さい。」

私は先に靴を脱ぎながら、先程届いたばかりの箱に視線を落とすと、続く秋庭さんも視線を下げた。

「人参?」

封の開いた隙間から見えたのだろう。

「祖母が送ってくれたんです。」

「お祖母さん、野菜作ってるのか?」

「ええ、昔から趣味なんですよ。
希少な珍しい野菜を育てるのが好きみたいで。その人参も珍しい品種なんです。」

「へえ~食べてみたいな。」

「これからその人参でプリン作るところだったので、出来たら連絡しますよ。食べに来て下さい。」

「ああ、楽しみだ。」

そう言って微笑んだ秋庭さんに、私はほっとした。
雪斗君に掴みかかっていた数分前のあの面影はなく、いつもの彼に戻っている。


話題の種があって良かった…
部屋に上がってもらったは良いけど、内心凄く気まずかったから。
ありがとう、おばあちゃん!


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