借金取りに捕らわれて 2
真っ直ぐ私を捕らえる瞳に身動きがとれなくなる。

どこかすがる様でもあり、とても真剣な瞳。

いつもの隙あらば押し倒してくる時とは違う。

今日の秋庭さんは、どこか消えてしまいそうな、そんな危うさを感じる。

けど…

今の私には、『はい』と答える勇気がない。

「少し、考えさせて下さい。すみません。」

俯いた私の頭に、小さく笑った彼の大きな手が触れた。

「断られるかと思った。少しは進展してるってことかな?」

「少しは、進んでると思います…」

「なあ、ヒロ。」

「はい?」

「ヒロは、何があっても…いや、なんでもない。」

「?」

「じゃあまた連絡する。」

秋庭さんはそれだけ言って振り返らずそのまま出ていってしまった。

秋庭さんは何を言いかけたんだろ。

気にはなるけど、これもきっと踏み込まない方が良いのだろう。

< 141 / 147 >

この作品をシェア

pagetop