借金取りに捕らわれて 2
真希は帰り際、秋庭さんに釘を指して帰って行った。



『私がいない間、ヒロに手ー出すなよ!』



その釘が、どこまで効力を発揮してくれるかは分からないが…


あの呟いてた言葉もあるしな…


当分身の危険はないだろうと、呑気に構えるだけの余裕を何故か私は持っていた。



真希が帰っていくと、それを待っていたかのように秋庭さんのスマホが震えた。


「ああ、今行く。」


やっぱり、忙しそう…


素っ気なく答えて電話を切ると、秋庭さんも玄関に立った。


「仕事だ。また連絡する。」


「はい。…お気をつけて。」


「…………」


仕事へ行く仮の彼氏を見送る時、何と声を掛けていいものか迷って言った言葉に、秋庭さんの眉間にうっすらと皺がよる。

お気に召さなかったですかね?


「どうかしました?」


「俺には、待ってるって言ってくれないんだな。」


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