借金取りに捕らわれて 2
別に良いか。

どうやら拓海さんは勘違いをしてくれているみたいだし、このまま訂正しないでおこう。

ヒロは客の前には出ない、厨房の仕事だ。

会うこともないだろう。

会えなかったところで、借りを返す方法に背いてはいない。

拓海さんからは"ジュリエットで奢ってくれ"としか言われていないからな。

まあ、拓海さんの思惑は叶わなくても、いつもお世話になっている拓海さんには、ちゃんと借りは返させてもらいますよ。



「彼女、美人?」


勘違いしている拓海さんがニヤニヤしながら聞いてくる。


「そうですね。誰よりも美人ですよ。」


それに俺はしれっと答えれば、「惚けかよ。」とまた呆れた視線が飛んでくる。


「本当、撃ってやりたいわ。お前、夜道気を付けろよ。」


「はい、気を付けます。特に拳銃持った警察官には。」



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