借金取りに捕らわれて 2
「あれ?ここどこ?」


まだ眠たそうな声がした方を見れば、台所の床でさっきまで毛布を被り気持ち良さそうに眠っていた男の子が、目を擦りながら体を起こしていた。


「良かった目覚ましてくれて…
あの…昨日のこと覚えてますか?」


彼の前に膝をついて聞けば、昨日の記憶を手繰り寄せているようで、「えっと…」と暫く旬順してからとても申し訳なさそうに口を開いた。


「俺、もしかして君と寝た?」


「えっと…」と今度は私が頭を巡らせる番だった。


"寝た"って、あの寝たって意味でいいんだよね?


「ああ…覚えてないようなので説明しますね。」


私の部屋の前で倒れてたこと、起こしても目を覚まさなかったこと、このままにしておけないから部屋に入れたことを順を追って誤解がないように、決して寝たなどと思われないように、事細かに説明した。

すると、意識がはっきりしてきた彼は、徐々に思い出してきたようだ。


「そっか~俺、お姉さんに凄く迷惑掛けちゃいましたね…」


そう言ってだんだん近づいてきたかと思えば、顎をくいっと上向かされ至近距離に顔が迫ってくる。


「な、なんですか!?」


私は反射的に手を振り払い、床を滑るように後ずさった。

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