借金取りに捕らわれて 2
『ガチャ』と店の奥の扉が開く音がして、そちらの方を横目で見れば、額に赤いバンダナを巻いた見知った顔が間仕切りの暖簾から顔を出した。


「やっぱり、ここに来ると思ったぜ。」


また面倒な奴が…


「なんだ、来てたのか。」


武はカウンターの奥の席に腰を下ろした。


「お前が道場で暴れてるって聞いたからよ、帰りにここに寄ると思って待ってたんだよ。」


「親父さんの仕事手伝ってるって聞いてたが、案外暇なんだな。」


「いや!かなり忙しいぞ!それはなんというか…かなりな!」


俺の前に水の入ったコップを置いて、あや姉がフフッと笑った。


「武寅はね、久し振りに隼人と飲みたかったのよ。」


「あや姉ー!」


武は立ち上がり、慌てた様子で否定する。

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