サーペンディス 天秤に架けられた少女


 少し考えてみる。


「賭けてみる?」


 するとアイリスは笑って、


―――私はそれまで生きてないわ、きっと。無駄な事は止しましょ?



 私は立ち上がり、アイリスの顔を覗き込んだ。

 
 アイリスはびっくりしている。



「無駄な事じゃないわよっ、それにこれからもあの子の保護者は私だし、それに―――あなたには生きていてもらいたいわ」



 彼女は窓を見て、



―――なんだか大臣候補の時からぎくしゃくしてたけど、結局、あなたとは仲が良いのね。



「それって、どういうこと?」



 振り向いて、



―――いいえ、なんでもないわ。そのうち、その"サーペンディス"を連れて来てちょうだい。会って話してみたいわ。



「分かったわ。あなたが死なないうちにね」



―――なによ、それ。



 アイリスの頬が膨らむ。



「冗談よ。んもう、冗談通じないんだから」



 静かな病室。


 窓の外は晴れ渡っていて、風が気持ち良い。


 午後は予定もないしこのまま居座ろうかしら?



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