秘密の約束。

ぬかるみ。mutuke



俺は今

病院にいる。


お母さんが刺された。

実感がわかず涙もあまり出ない。

やっぱり殺人者の息子だと一人笑ってみた。


苺香は感情が豊かで、素直に泣けて

素直に笑えて素直に言葉を伝えれて

うらやましいと思った。


俺はお母さんに育ててもらい

お母さんにいっぱい愛情をもらったのに

涙が出ない。

もう殺人現場を見てから人間じゃなくなったのかもしれないな。






「きゃぁぁぁあ!!」



いきなり苺香が叫びだしてガバッと起きた。


少し驚いたがすぐにあることに気づいた。



泣いてる…


怖い夢でも見てたのかな?お母さんのことが心配なのかな?


「どうした?」


「ちょ…っと…怖い夢を見ただけ。大丈夫だよ」


と苺香は苦笑いした。

もろくて壊れそうなのにどこか強くて

でも強がりで。



俺は涙を拭くために苺香のほっぺたに触れた。
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