秘密の約束。
 

「泣いてるじゃん」


苺香が心配だった。なんだか壊れて消えそうな気がしたから。


「あ、ほんとだ」


気づいてなかったようだ。案外あっさりと言った。


「苺香」


俺は苺香を抱き寄せた。心臓がドキドキと脈を打ってる。

「お母さんは大丈夫だから…」


きっとお母さんのことだろう。心配だった…。俺が支えにならなきゃ…

腕に力が自然と入る。


「…うん」


苺香は俺の胸の中で瞼を閉じて

抱きしめかえしてくれた。



あたたかい体温が俺を安心させてくれる。


これから先どうすればいいのか…


見当がつかなかった。





ただ
今、失いたくないものがある。

お母さん


お父さん


苺香。



俺の大切な人は、失いたくない人は

どうやって守ればいい?誰が守る?






─────俺だ。
俺が守る。命をかけても…。
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