おもかげlover...〜最上級に最低な恋〜
わたしは、やまやまのメールを佐藤くんに見せた。
真っ暗な部屋の中で向けられた明るい光に佐藤くんは目を細める。
その表情にドキドキが加速した。
メールを見た佐藤くんは、


「あこちゃんって…本当に本当に純粋ってか、鈍感だよな。笑
やまうらさん、あこちゃんのこと好きだよ…」


「ないない!笑
それは絶対にないよ!」



わたしはベッドの横にベタッと座って、佐藤くんから携帯電話を受け取った。


「どう考えたってあれは好意があるとしか思えない。
潤だって…オレだってそういうのは敏感に察するよ」


佐藤くんはこちら側にごろんと寝返りを打つ。
一気に距離が近くなって、それがたまらなく嬉しくて、熱くなってドキドキして…
止まらなくなりそうな気持が胸を苦しくする。



「本当にそれはない!だってやまやまさぁ、わたしに向かって、全然モテる意味がわからない。とか、ゆうこりんの顔をぐちゃぐちゃにしてパンパンにしたらイタ子ちゃんになるよね。とか、失礼なことばっかり言うんだよ!」



「ははっ、それはひでーね!笑
あこちゃんって反応いいからいじりたくなるんだよ、やまうらさんみたいな人は特に。
典型的な好きな子いじめるタイプの人だよな。」



納得しない顔のわたしに佐藤くんは優しく笑う。
その笑顔に包容力のような暖かいものを感じる。


初めて会った時の、チャラい軽い、変わってる。なんて印象は今ではまるっきり感じない。


どうしたって目から入る情報が優先されてしまうから、関わってみてわかる事、知る事の方が多いのに…



佐藤くんをもっと早く知りたかったな…



ううん、違う。わたしが急ぎすぎたんだ。


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