おもかげlover...〜最上級に最低な恋〜
「いつだって、ひとりになんかしねぇよ…」

「ううん…今夜だけ…」



精一杯の笑顔を月が照らしてくれた。
不思議そうな顔をする佐藤くんを支えて、部屋までの階段をあがった。
真っ暗な玄関に入ると、程よいボリュームで音楽が聞こえてくる。


「弟、毎日CDかけっぱで寝るから」


片付いているとはいえない玄関や廊下を通って、鳴り止まない音楽の部屋の隣が佐藤くんの部屋。
まさに男の人の部屋という感じの、ごちゃついた感に思わず笑ってしまった。


「潤の部屋はめっちゃキレイだったっしょ?」


佐藤くんから潤くんの名前が出てハッとした。
また今日も朝からメールの返信をしていなかった。



彼にはちょくちょく送っていても、潤くんを放置してしまう。
無意識にだからタチが悪い。


佐藤くんに、″ちょっとごめん″と断って、携帯電話を確認すると着信1件とメール3件と表示されていた。
着信は潤くんから、メールは、彼、潤くん、そしてやまやまからだった。



彼からは通常の日常メール。
潤くんからは、
-なにかあった?-
と…昨日から違和感を感じているに違いない。
そして、やまやまからは…




送ったらすぐ帰れよ!
誰にでも優しくすんなよバカ。



と、きていてふき出した。
そしてベッドに倒れ込んでいる佐藤くんに言った。



「やまやまとは大丈夫そうだよ」

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