おもかげlover...〜最上級に最低な恋〜
「えっ?お前好きな奴いるの?」

と静かに笑ったやまやまは業務用冷蔵庫にもたれてわたしを見る。


そんなやまやまを見上げて佐藤くんがまた余計なヒトコトを…

「オレびっくりしちゃったんすよ!」

「なんだよ?」

と不思議そうな顔のやまやま。
そりゃそうなるよね…と、わたしはカウンターへチョコチョコと逃げた。

「オレの口からは言えないっすよー」

なんて、そこまで言ったくせに逃げる佐藤くんの声が聞こえる。

「なんだよ、イタ子!」

とやまやまに呼ばれてあっさりとキッチンにいる2人の元へ引き戻された。
キッチンのちょうど中心に立って、教えろという目をするやまやま。
奥でイスに座る佐藤くんは
「イタ子ってなに?」と笑う。

悪いことをしているわけでもないのに…白状しろと言われているみたいで胸がソワソワする。
わたしは自分の口からはとても言えないと判断して、佐藤くんを手差しして
「聞いていいよ」と言った。

やまやまは佐藤くんの方に顔を向ける。
佐藤くんはイタズラな笑顔を顔いっぱいに溢れさせ、少しボリュームを下げた声でやまやまに告げた。

「潤のこと、好きなんだって」


響きだけでうつむかずにはいられない程の熱がわたしを襲う。


「はぁ?!水島くん?まじ?」


やまやまは見たことない程真面目な顔でわたしを見た。

うつむきながらもしっかりうなずいたわたしを確認して、やまやまはクックックと笑いながら″まじかよ…″とポツリ。

「えっ?だってお前ここに来てまだ…
まだ1週間も経ってねぇじゃん」

苦笑いするやまやまに佐藤くんは張り切って言った。

「ヒトメボレなんだよね?」


「まじで?」

と言いながらなんとも言えない笑い方をするやまやまは、驚きを隠せない様で
″まじかよ″としか発しない。
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