おもかげlover...〜最上級に最低な恋〜
帰り道の車の中、お決まりでリピートされている冬恋を耳に甘い笑みが溢れ出る。
″好きな人″のことで茶化されたけど、嬉しい情報を知れたりまだ知らないことを知りたいと思えたり…。
確実に想いはスピードを上げ始めている。


彼氏の事を忘れている訳ではないけれど…
こうなってしまったら頭の中を占領するのは水島くん。
それでもこれまでと一切変わらずメールも電話もマメにしている自分に恐さすら覚える。



アパートまでの帰り道の途中、何を思ったのかわたしはとっさにある人に電話をかけていた。
呼び出し音がなって…

「どした?!」

と、お決まりのセリフが耳に響く。


「なら今から向かうねっ」

電話の相手に告げて切るボタンを押した。
そして再び着信履歴からコールしたのはもう1人別の相手。

「どぉした?!」

これまたお決まりのセリフ。
だいたいわたしが電話する時は、泣いているか怒っているか、寂しいかガソリンがないか…

「ならしゅんちゃん乗せてから行くからねっ!」

夜の9時を回った地元の道は人通りもなければ、車も滅多に通らない。
慣れた道のりに速度があがる。
細い道を進んだそこには黒い人影がひとつ。
車を止めたらすかさず助手席のドアが開いた。

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