俺にすればいいのに。
先輩はサッカー部のエースにずっと片想いで、何回も告白してはフラれてる。

それでもめげずに頑張る姿に、俺はいつのまにか惹かれていた。


そんな先輩と会えるのも今日が最後。


「明日から、学校来ないんですか?」

「うん。私は進路決まったから、大人しく入学準備でもするよ」

「どこに行くんでしたっけ?」

「被服の専門学校だよ。小さい頃から裁縫が得意でいろんなもの作ってたから」

「いいですね」

「大人になって子どもができたら、可愛い服をいっぱい作って着せてあげるのが夢なんだ」


小さな子どもみたいに、目を輝かせて夢を語る先輩はすごく可愛かった。

……今すぐ抱きしめたいくらいに。
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