諦めるには値しない

そんな結末を思い描いていた。
でも、日向くんは最後の最後で
スリーポイントシュートを打った。
そのボールは見事に入り
僕たちは勝利を収めた。

とにかく勝ててよかった。
でも、僕には分からなかった。
どうして、あの場面で日向くんが
スリーポイントシュートを打ったのか。

更衣室に戻り着替えを済ませると
僕は、日向くんに尋ねた。

陶太「どうしてあの場面で
スリーポイントシュートなんて
賭けに出たの?日向くんなら
切り込んでいけたはずなのに。」

珀斗「外してもいいと思ったから。」

昴「外してもいい?」

珀斗「俺たちガードはさ
外さないシュートを打つんじゃない。
外してもいいからシュートを打つんだ。
ゴール下には真山がいる。高杉も昴もいる。
俺の外したボールは必ず皆が
叩き込んでくれるって信じてるから。
ゴール下にいる人間が誰だって一緒だ。
皆が居てくれるから俺たちは
シュートを打つ事が出来るんだ。」

仲間っていいなって思った。
こんな人たちと仲間になれた
僕は本当に幸せ者だなって。
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