花瓶─狂気の恋─

雫は布団から僅かに出ている真帆の耳元で囁いた。最初は雑音にしか聞こえなかったその声は、段々と聞こえるようになり、それは砕けた真帆の心が修復されていく。


ドクンッ...ドクンッ!ドクンッ!


悠雅の告白でいつの間にか止まっていた真帆の狂気の鼓動が聞こえてくる。目に火がつき、やる気と野心で満ちていた。


ガバッと布団から出て、興奮しながら雫は見た。雫はこうなって当然と言わんばかりに無表情だった。


「そうか!それなら悠雅先輩は私の事を好きになってくれる!こんな方法があるなんて!」


「その答えには自分で辿り着いて欲しかったものだわ。まぁ、やる気が出てるなら取材は続行ね。悠雅君、いつ連れてくる?」


「今すぐ!って言いたいところだけど、まずやらなきゃいけないことがあるから。」


「やらなきゃいけないこと?何よそれ。」


雫は再び腰を椅子に下ろし、腕を組みながら真帆の話を聞いた。


「あいつを...矢内 桃を排除する。」


「その子が何かしたの?あ、刺した犯人か。」


「それだけじゃない。あいつは悠雅先輩に好意を寄せて私を刺した。あいつを排除してから悠雅先輩を手に入れる。ケアの方法は任せる。」


「そう....それなら私はこれで失礼するわ。時間切れだし。」


雫は立ち上がり、お見舞いで持ってきてくれたであろうリンゴを一つ鞄へ入れた。
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