花瓶─狂気の恋─
「貴女はいい子ね。こんな子に育ってくれて両親もさぞ鼻が高いでしょうね?」
「どうだろうね....考えたこともなかったや。」
雫は手帳をしまい、晶子の顔をじっと見つめた。晶子の表情を自分の心のメモに書き残すように、全てを見透かされるかのような目に晶子は動揺する。
「真帆のお願いのやつだけど....あれは嘘よ。そして泰河君、彼は真帆の気に障って死んだ。」
「え?...何言ってるの?嘘でしょ?」
「いいえ本当よ。殺す気は無かったでしょうが....真帆は金槌で泰河君の頭を滅多打ち、彼の頭は潰れたトマトみたいになるまで」
「もうやめて!嘘ってのは分かってる!真帆が泰河君を殺すわけない!!」
晶子はゼェゼェと息を荒らげながら、雫をギロりと睨みつける。だが、そんな睨みに顔色変えない雫に嫌な予感を覚え、晶子はスっと目を逸らした。
「信じる信じないは貴女に任せるわ。じゃあ仮定の話にしましょう。もし、真帆が本当に泰河君を殺していたら、貴女は真帆を受け止められる?まだ親友と言えるの?」
「.......多分、親友とは言えない。だけど、親友だったことに変わりはない。私は真帆を受け止める。これ以上、あの子が道を外さないように私がしっかりしなくちゃいけない!
それに助力する貴女が許せない!貴女なんでこんな事に手を貸すの!?真帆を使って何を企んでるの!?」