花瓶─狂気の恋─

次の瞬間、悠雅のお腹に鋭い痛みが走った。あまりの痛さと瞬間的な出来事だった故に、悠雅は状況を理解出来ずに悶絶した。まるで無数の針を一点に刺されたような感覚。
視界がチカチカ光り、頭がボーッとする。


「ガッ...な、何が....」


「あ、説明してませんでしたね。今のはこれです。」


真帆はいつの間にか手にしていた黒い棒を悠雅へ見せた。ぼやける視界で何とかその物体を見ようとするが、確認することは難しかった。


「なん...だ....それ...」


「強力なスタンガンです。これで悠雅先輩を調教します。嘘発見器が鳴ったらスタンガンで攻撃するので、早く私を好きになってください。あ、これが終わるのは勿論嘘発見器が鳴らなくなった時ですよ〜。」


悠雅は身体の痺れを実感すると、確信する。真帆はやはり異常、そしてこれ以上やられると死んでしまうと。


「や、やめてくれ...死んでしまう....」


「大丈夫です!そこは調整して死ぬギリギリの所で休憩挟んだりするので。
そもそも死にたくなかったら私のことを好きになればいいじゃないですか〜。
じゃあドンドン行きましょう!先輩は私のことが好き!はい!」


真帆はスタンガンをマイク替わりに悠雅に向ける。悠雅はある程度回復していたが、少しでも時間を稼ぐ為にまだ弱っている演技を続けた。
< 232 / 259 >

この作品をシェア

pagetop