花瓶─狂気の恋─
「そうね....貴方は何も悪くないわ。
...ねぇ、晶子ちゃんは無理だけど、貴方は助けてあげるわよ?」
「え?」
悠雅は涙で覆われた視界で雫の方を見る。雫は母親のように優しく微笑んでいた。
「貴方だけは助けられる。晶子ちゃんには打つ手がないけれど、貴方はまだ助けてあげられる。」
「ほ、本当ですか!?....お願いします...助けて下さい...」
悠雅は晶子の事を気にかけていたが、あまりにも自分が追い詰められているせいで助かりたい気持ちが大きかった。
それを聞いた雫は悠雅の目の前に立ち、拘束具へ手を伸ばすと、扉が勢いよく開いた。
その音に二人は身体をビクッと跳ねさせ、そこから動けなくなった。
真帆が帰ってきたのだった。
ちょっと待っててって...一分も経ってないじゃないか....なんでこんな時に限って早く来るんだ...もう少しで....もう少しで拘束具を取ってもらえるのに....
「あれ?雫何してるの?」
「...悠雅君暴れちゃったから拘束具を締め直したのよ。取れちゃ不味いでしょ?」
「そうなんだ、ありがとうね。じゃあ早くどいて。」
そう言われると、雫は溜め息を吐き口パクで『ごめんね』と伝えて悠雅の前から立ち去る。