花瓶─狂気の恋─

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真帆の調教が始まってから一時間が経過した。その間、悠雅は何度も電流を浴びせられ、度々気を失う始末。そして起きるとすぐ質問が飛んでくる。
悠雅は精神的にズタボロだった。


「も〜。先輩、いつまで強情張ってるんですか?もう一時間も経っちゃってますよ〜。」


い、一時間!?まだ一時間しか経ってないのか!?無理だ...一時間でこんなんじゃあ死んでしまう!


悠雅にとっては絶望としか言い様がない宣告。悠雅はもう生きることを諦めてしまうくらい弱っていた。


「う〜ん....本気度が足りないのかな〜...あ!ちょっと待ってて下さいね先輩!」


そう言って真帆は走って部屋から出て行った。真帆が目の前に居ないという事実だけで悠雅は救われた。砂漠で干からびて死にそうな旅人がオアシスを見つけたような、神からの救いの手のように感じる。

だが、それは時間が限られている。悠雅は喜びと絶望の境にいた。


「大丈夫?悠雅君。」


ただ真帆の調教を黙って見ていた雫が優しく声をかけた。今の悠雅にとっては有難い優しさで涙がポロポロ出てくる。


「助けて下さい...僕が何をしたっていうんだ....晶子ちゃんも助けてあげてください....」

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