花瓶─狂気の恋─

悠雅の前と言えど、真帆の狂気が出てきそうになる。


未だに千紗殺害計画の具体的内容は全く決まっていない。だが、やるべき事は分かっていた。
これをしなければどんな計画にしろ、進まらない。少しでも殺した後の疑いがかからないようにしなければならなかった。

それがどんだけ屈辱的で吐き気を催す事でもやると真帆は決断した。


視聴覚室のドアを開けると普段通りの部活動が始まった。新入部員は昨日とは少し違って学校の敷地内から見える景色やものを撮るという課題を出された。


新入部員の六人はそれぞれ校庭に散らばり、山や植物など自然を中心に撮っていく。
真帆は珍しく真剣に撮影した。それも計画の一部、より成功するための下準備というわけだった。
悠雅に早く会いたいという気持ちを必死に堪えながら、震える指でスマホで写真を撮る。


真帆は写真を撮り終えると、すぐさま視聴覚室へ向かい教室内に入る。
真剣に作業に集中している部員の中に紛れ、悠雅の姿が目に映る。
胸が強く締め付けられる。


悠雅先輩....真剣な顔がカッコよすぎる!声掛けていいかな?抱き着いてもいいかな?見とれてていいかな!?


真帆は気持ちが舞い上がり、行動に移そうとした。
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