花瓶─狂気の恋─

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「う...ううう....ぶっ!ッッッッッハッ!!」


千紗はまるで海から這い上がってきたような感覚に襲われ、目が覚めた。目が覚めても尚、苦しみは治まらない。何故か枕が千紗の口元と鼻を塞いでいたのだ。

千紗は枕をすぐに持ち上げ、乱暴に真横に投げ捨てた。


「もう!危うく枕に殺されるところだったじゃん!!あぁ〜苦しかった...何かめっちゃ空気美味しいんだけど。」


枕のおかけで熱気で溢れ、尚且つ息がしずらい状態だったのでエアコンの効いた部屋の空気がとても新鮮に感じた。

千紗は背伸びをして、眠っていた身体を起こした。


「ん〜!はぁ....何か疲れちゃったな...さっきの夢何なんだろ?正夢だったら怖すぎなんだけど...」


独り言を呟きながら部屋のカーテンを開ける。外は朝なのにも関わらず、暗雲が空を覆っていて何時なのかも分からなかった。
時間を確認すると時間はまだ十時、約束の時間まではまだまだ余裕があった。

千紗は私服に着替えると頭をかじりながらリビングへ向かった。
リビングには千紗の母親がエプロン姿で台所で作業をしていた。


「あら、おはよう千紗。」


「ん、おはよう...あれ?お父さんは?まだ寝てるの?」
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