four seasons〜僕らの日々〜
「そうなの?」

「うん。よくお姉ちゃんと花かんむりを作ったなって懐かしくて」

美桜はじっと絵を見つめ続ける。

椿はぼんやりと他の絵を見ていく。どの絵もすてきだと思うが、美桜のようにこれが好きというものは見つからない。

美桜のところに行こうとしたその時、椿の目にある絵が止まった。

その絵は、木の下で本を小さな女の子に読み聞かせているお母さんを描いたものだった。その絵を見た刹那、椿の頭に思い出が再生される。

『王子様がキスをすると、白雪姫は目を覚ましました』

『シンデレラは慌てて階段を駆け下ります。しかしその時、ガラスの靴を落としてしまいました』

懐かしい声が聞こえる。気がつけば泣いていた。

ふと隣の絵を見れば、一人の女性が多くの人に愛される様子を描いた絵があった。
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