four seasons〜僕らの日々〜
『おはよう……。どうしたの?』

椿が電話をかけると、蓮は眠そうな声で訊ねた。

『ごめん!今すぐ体育館に来てくれない?』

『何で?』

『劇の代役をお願いしたいの!!』

しばらく蓮は黙ったあと、『そんなの無理だよ』と言った。

『演劇部でもないし、そもそもお芝居なんてしたことないよ』

『お願い!蓮しか頼める人がいないの!』

椿も蓮を説得していて、無茶なことを言っているな、と思った。

しかし、椿が説得を続けると蓮は『わ、わかったよ……』と言った。

まるであの時みたい……。椿の頭の中に蓮に告白した時のことが再生される。

蓮は、いつだって自分の意志を殺す。相手に妥協する。それにいつだって自分は甘えていた……。

もうすぐ終わるから、待ってて……。

そう心の中で言いながら、椿は体育館の中へと戻る。

そして、叫んだ。

「代役見つかりました〜!!」

それを聞いたみんなの顔がほころびた。

そのあと蓮が体育館に来て、一緒に練習をした。

お芝居をするのが初めてと言っていたが、蓮の演技はとても上手で、椿の胸はまた高鳴った。台詞もあっという間に覚えてしまい、椿たちは驚いた。

蓮のロミオは、椿の心を掴んだままだった。



「えっ!?じゃあ蓮くんはロミオを演じるってこと?」

登校してきた美桜に、椿と蓮は事情を説明した。
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