four seasons〜僕らの日々〜
「蓮はさ、すっごい優しいよね。私のわがままいっぱい聞いてくれたよね。でもね、ちゃんと知ってるんだよ」

思い出が頭に次々と浮かび、椿は蓮から目をそらす。

「私は、蓮や美桜を傷つけてしまった。縛り付けて、最低なことをしちゃった。……本当にごめんなさい」

椿はくるりと蓮に背を向け、ゆっくりと歩き出した。

「蓮、今までありがとう。もう自分を殺さなくていいの。……幸せになってね」

前の椿なら振り向いて、「嘘です」と言っているかもしれない。でも、もう振り向くことはなかった。

蓮の優しさにこれ以上甘えちゃダメ。蓮をーーー解放してあげなくちゃ……。

体が震えて、大粒の涙がこぼれていく。ふらふらとした足取りで、椿は廊下を歩いた。

あんなに賑わっていて華やかだった校舎は、今は嘘のように静かだ。まるで、舞踏会が終わったあとのように……。

ぐいっと椿の腕を誰かが引っ張った。そして優しく抱きしめる。

「大丈夫だよ…。俺がついてる」

空が優しく囁く。静かに泣いていた椿は、子どものように激しく泣きじゃくった。

「大丈夫……大丈夫だよ……」

空の優しい声が、温もりが、椿の心を少しだけ支えた。
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