four seasons〜僕らの日々〜
『ありがとう』

まるで何もなかったかのように、凛ちゃんとたくさん話せた。手話をしなくなる前のように。

『高校、楽しい?』

『部活、何?』

『好きな人、いる?』

いろんなことを話す。次々と手話が出てきて、二人の世界が繋がった。



凛ちゃんともう一度会えたのは、もう一度話そうと思えたのは、全部蓮くんのおかげ。

蓮くんには助けられてばかりいる。

傷ついて泣いてしまったこともあった。でも、蓮くんへの想いは止まらない。どれだけ傷ついても、蓮くんの優しさや温もりに触れるたびに、胸が高鳴り体が熱くなる。

翔くんや坂本くんに優しくされても感じない特別な感情。そのことがくすぐったくて、少し怖くて。

恋は楽しいことだけじゃない。それでも、好きな人と一緒にいる幸せは甘くて優しい。時を止めてしまいたくなる。

蓮くんの隣にいることを望むのは身の程知らずかもしれない。私は蓮くんにふさわしくないかもしれない。

だけど、期待してしまう。蓮くんも私のことを想ってくれているのかと思ってしまう。
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