four seasons〜僕らの日々〜
お母さんはバニラのアイスを、蓮はキャラメルのアイスを手に取りゆっくり食べ始める。

「最近、いい詞が書けないんだよね」

蓮がそう言うと、お母さんは少し考えてから話した。

「まあ、うまくいかない時期って誰にでもあると思うし気にする必要はないと思うよ」

「うん……」

蓮は、初めて作詞作曲をした時のことなどを思い出す。あの人も同じようなことを言っていた……。今は何をしてるんだろう?

「蓮!カップからアイスがこぼれそうよ!」

お母さんの言葉で蓮は我に返った。慌ててこぼれかけるアイスを口に運ぶ。

「お母さんも同じこと、言われたことがあるんだよね〜」

「えっ?」

「恋してた時その人のことを考えて、ボーッとしててアイスをこぼしそうになったの」

恋、という単語に蓮の頭に美桜が浮かぶ。美桜はどんなアイスが好きなんだろう…と食べているアイスを見ながら考えてしまう。

「椿ちゃんのことを考えてるの?」

その言葉に胸が痛くなる。お母さんには椿と付き合っていることがバレていた。
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