カボチャの馬車は、途中下車不可!?

……し、まった。
すっかり忘れてた。
私は、マユミで……


強張った顔を、車の中へ向けると。
直前までの柔らかさを消した鋭い視線が、探るように私を見ていた。

「以前は欲しいって言ったものを、今はいらないって言う。さて……本物のマユミはどっちなのかな?」


血の気が引いていく。


一気に形勢は逆転。


ど、どうしよう……っ
ブランドリストなんて、青山さんなんでそんなもの……


言い訳の言葉を探して、忙しなく目線を彷徨わせていると。
ふっと、車内から息を吐く気配がした。


「ま、いいや。今日のところは許してあげる。嫌われたくないからね」

今日ノトコロ、ハ……?
「それ、どういう……」

「Have a good night, sweet heart」
キザったらしいウィンクを残して、窓が閉まっていった。
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