カボチャの馬車は、途中下車不可!?
「ちょっ……何するんですか!」
「ふふ。昨夜も激しかったみたいね。でも、噛むくせはやめてほしいわよねえ? 隠すのがターイヘン」
「……っ!」
とっさに言葉が、出なかった。
この人、ライアンと寝たことあるんだ。
頭がその結論をはじき出した途端。
ベッドの上で絡み合う2人を生々しく想像してしまい、胸の奥がギリッと強烈な痛みに襲われた。
……お、落ち着きなさいっ!
胸に手を当てて、何度か呼吸を繰り返す。
彼が今付き合ってるのは、私だ。
過去なんて、どうでもいいじゃない。
それに私はこんなところで喧嘩買ってる暇はないんだから。
そうでしょ?
「……急ぐので、失礼します」
構わず歩き出そうとして——腕が、彼女の手にガシッと鷲掴まれた。
「った……」
強く爪を立てながらつかまれて、痛みに顔がゆがむ。
「な、なんなんですかっ一体!?」
「忠告してあげるわ。早く別れなさい」
くっつくくらいに顔を寄せながら、ナイフのように鋭い口調で言う。
甘ったるいフローラル系のパフュームが鼻をつき、思わず顔をそむけた。