新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない


『ねぇ、お父さんとお母さんは、どうしていなくなっちゃったの?』


……あれは、まだ幼い私がお父さんとお母さんのお葬式に参列した日のことだ。

あの日、私は参列の途中で葬儀場を抜け出して、近くの小さな公園へと足を運んだ。

お父さんとお母さんはよく一緒に、公園で遊んでくれたから。

だからなんとなく、公園に来たらいつものように、お父さんとお母さんに会えるような気がしたのだ。

まだ、身近な人の死という現実を、現実として受け入れることが難しかったあの頃……。

ひとり、ブランコに座って空を見上げていた私の前に、私と同様の黒い礼服に身を包んだ男の子が現れたのは、突然だった。


『おにいちゃん、だれ?』

『これ……君にあげる』


私の質問には答えずに、そう言った男の子は多分、私よりもいくつか、年上だったように思う。

どんな顔をしていたかは思い出せないけれど、頭と腕に痛々しい真っ白な包帯を巻いていたことは覚えていた。

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