新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
「──それでは本番五分前です。よろしくお願いします!」
カンペというものを持ったスタッフさんの一人が声を掛け、和やかなムードのまま、それぞれがスタンバイの位置についた。
心臓は、暴れるように高鳴っている。
チラリと湊を伺えば、彼は酷く落ち着いた様子でリポーターの女性と話をしていた。
湊はメディアにも随分顔を出しているし、こうした場にも慣れているのだろう。
……ああ、ダメだな。
私は初めての空気に呑まれて、どうしても落ち着かない。
「それでは中継入りますー。五、四、三……」
独特な掛け声が入り、カメラが廻る。
予定時刻ピッタリで始まった取材は、概ね準備された原稿どおりに進んでいった。