新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
「今度こそ怒るぞ」
本当に、少しだけ怒った表情をした彼は、小さく息を吐いたあとで言葉を続けた。
「この状況で、桜ひとりに今後の全てを任せるなんて、できるわけないだろ?」
じわりと目には涙が溜まって、自分の弱さにいい加減腹が立つ。
「幸せにするって誓った。それで桜と家族になった。このあとの手続きや手配は俺がやるべきことだ」
「みな、と……」
「……身内が亡くなったのに忌引も取れない会社なんて、ブラックもいいところだ。有り難いことにLunaは、その辺りの制度もしっかりさせてもらってる」
「そして、こういうときのために信頼できる仲間がいるしな」と、付け加えた湊は当然のことのように笑ってみせた。
根岸さんもきっと、事情を告げたら「こっちは大丈夫だから」と言ってくれるのだろう。
そういう会社を作ったのは、他でもない湊なのだ。
遠慮することはない。仲間に何かあればみんなでフォローする、それは別に当然のこと。