新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない


「ハナちゃんは、もう企画課の大切な仲間だからねぇ」


ゆるりとした口調で言ったのはカブくんで、思わず「ありがとう」と答えた声が涙で濡れた。


「とりあえず休んでたぶん、たっぷりと働いてもらおうか」

「社長も、このあとの打ち合わせの予定がありますので、そろそろお戻りください」


タイミング良く声を掛けてくれたのは、湊の後ろに控えていた近衛さんだった。

言われるがまま「わかってるよ」と答えた湊は私の髪を優しく撫でて、そっと耳元に唇を寄せる。


「とりあえず、良かったな」


ぴくりと身体が跳ねたのは半分反射だ。


「今日から、一緒に帰ろう。仕事が終わったら社長室に来て」


囁かれた声は業務用ではなく私用のもので、甘かった。

思わず真っ赤になって耳を押さえると、湊は満足そうに笑って企画課をあとにする。


「社長……想像以上にベタ甘っすね」


「胸焼けしそう」と続けたサツマちゃんは、面白そうに笑っていた。

……ほんとに、甘すぎる。

それでも秘密を打ち明けた今、不思議と胸はスッキリしていて、なんだか心が軽くなった。

もしかしたら、これも全て、おばあちゃんが与えてくれたキッカケなのかな……なんて考えるのは都合が良すぎるだろうか。

けれど、おばあちゃんが私にくれた最後のプレゼントなのだろうと考えたら……嬉しくて、たまらなかった。

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