新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
 


「蘭の言うとおり、Lunaのジュエリーは本当に素敵なものばかりで……。だからこそ、私がLunaの力になれるのか、未だに自信が持てないよ」


心を許せる親友とも言える彼女を前に、思わず弱音が漏れてしまった。

如月さんとの結婚ももちろんだけれど、自分がこれからLunaでやっていけるのか不安だらけだ。

けれど、つい睫毛を伏せてしまった私を見て、蘭はそっと微笑んでから首を傾げる。

可愛らしい彼女の仕草に見惚れていると、蘭は長い髪を耳に掛けながら、ゆっくりと口を開いた。


「誰だって新しく何かを始めようとするときは、不安で自信が持てなくて当たり前でしょ。力になれないかも……なんて考えるよりも、どうしたら力になれるのか考えたほうが楽しいんじゃない?」

「蘭……」

「私、桜の作るアクセサリー、すごく好きだよ。如月さんだって、桜の作品に惹かれたからこそ、力になって欲しいって言っていて……。あのLunaの社長に、そこまで言わせるってだけで十分自信を持っていいと思うけど」


その言葉に、私は思わず唇を噛みしめた。

瞼を閉じれば、この三週間の間に起きた出来事が、走馬灯のように脳裏を過ぎる。

如月さんと結婚を決めてから、早三週間。

その間には、本当に色々なことがありすぎた。


『とりあえず、両家への報告だな。さすがにこればっかりは、しておかないとマズイだろう』


有言実行らしい彼がそう言った翌日、私は本当に、如月さんの両親のもとへと連れて行かれた。

善は急げ。

彼は私に、思い悩む時間すら与えてくれなかったのだ。

 
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