惰性人間
例えばそれは稲妻みたいなモノ。

一瞬のうちにあたしの中を駆け抜けて、あたしを骨抜きにして、あたしを虜にするモノ。

そんなモノをあたしは確かに求めていた。

しかし、見つからなかった。

あたしの身の回りにあるものといったら、至ってフツーの日常。

だからあたしは半ばあきらめている。

期待なんてするだけムダ。

たぶんなんやかんや言って、フツーに高校を卒業して、フツーに4年制の大学に入って、フツーに就職して、フツーに寿退社して、フツーに子供を生んで、フツーに子供を育てて、フツーにオバサンになって、フツーに老衰で死ぬんだ。

なんてつまんない人生なんだろう。

死刑宣告されてるみたい。

でもあたし程度の人間にはこんなのが似合っているのかもしれない。認めたくないけど。
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