君とのゲームの行方
ゲームの行方
 学校から帰宅して、自分の部屋に入ると、俺はすぐにかばんを投げ捨て、ベッドに滑り込んだ。そして昨日茜が帰ったあとと同じように、とりとめもなく天井を見上げる。

 今まで当たり前だったことが、突然変化することってあるんだな。自分の気持ちの変化に気づいたとたん、この状況だ。俺は生まれて初めて、時が経つということに恐ろしさを感じた。

 もし、茜が直樹と付き合うことになったら、当然俺よりも直樹と会うことを優先するわけで。ここに来て、一緒にゲームをやることが少なくなるだろう。

 少なくなるどころじゃない。もし、直樹が俺の思っている以上に嫉妬深い奴だったら。もし、茜が俺の思っている以上に直樹のことが好きだったら。

 昨日のように、親しみがある者同士でないと決してできない言い争いを、俺と茜はしなくなるのだ。

 なんだこれ。笑えてくる。胸がきりきりと痛んだ。泣きたいのに、泣けない。自嘲的な笑みが零れる。切ないって、こういうことだったんだ。俺はそれを初めて知る。昨日から、俺は生まれて初めてばかりだった。

「何寝てんの」

 ――え?
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