君とのゲームの行方
突然の告白
 紙パックの中の残り少ない緑茶を、ずずっと音を立ててストローで吸う。すると、とうとうストローで吸うこともできなくなったほどの残量になったが、俺は口寂しくてストローを噛んだ。

 昼休み、昼食を取り終えた俺は一人で窓側の机に座り、教室をあてもなく眺めている……ふりをしながら、友人と机に向かい合わせになりながらお弁当を広げている茜を横目で見ていた。

 昨日からどうも意識してしまう。そりゃさ、俺だって年頃だし、あいつだって言うまでもなく女だし。今までだって、“もし俺と茜が付き合ったらどうなるかなあ”なんてことは、何度も考えたことがある。

 だけど、深くまで突き詰めたことは無い。“悪くは無いかもな”、そういう結論に達すると、俺はそのことについて考えるのをやめてしまっていた。

 別に他に好きな子もいないし、彼女を作るより男友達とつるんだり部活のバスケをした方が楽しいから、俺はあんまり恋愛に対して興味が無かったんだ。だから茜のことだって、今まで深く考えなかったのだろう。

 だけど、昨日俺は。……女になった茜を目にした俺は。何か、今までに感じた記憶の無い感情を、茜に対して抱いたんだ。

 なんだろう、これ。痛いような切ないような嬉しいような、この気持ち。こんなの、昨日までの俺は知らない。
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