君とのゲームの行方
 茜はそんな俺の視線になど当然気づくはずも無く、仲のいい女友達と談笑をしながら、おにぎりを食べていた。……今、あいつ何考えてるんだろう。なんでこんなことが気になるのかわからないのに、気になった。

 そんなことを考えながら、相変わらずストローを噛んでいると、教室に隣のクラスで同じバスケ部の直樹が入ってきたのが見えた。部活のことついて俺に話があるのかな。俺は自然な流れでそう思った。

 しかしどうやら、直樹は俺に向かって歩いているのではなかった。俺は眉をひそめる。だって、あいつがここにやってくる時は、大抵俺に用事がある場合だったから。

 あ、そういえば俺じゃない奴を目的に直樹が来ることもあったな。俺じゃない奴……茜だ。そうだ、俺を通じて直樹も茜と最近仲良くなったんだ……って。

 そのことに気づいた俺は、酷く焦った。自分でもよくわからない。なんでか分からないけど、とにかく焦った。茜と直樹が会話をかわすことに、腹立たしさすら覚えるほど。なんでだ、今までそんなこと思ったこともないのに。

 そんな俺の心情など当然知る由も無い直樹は、すたすたと茜の方へと歩み寄る。俺はこっそりと直樹を睨んだ。

 すると、直樹の様子がいつもと少し違うことに気づく。そわそわしているというか、浮き足立っているというか、とにかく落ち着かない感じ。……しかし、俺が何度か見たことがある直樹だった。
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