溶けろよ、心
「あそこに座るか」

私たちは花壇の端のところに座った。こうして町田くんと並んで座っていると昼休みのお弁当を思い出す。もう何回一緒に食べただろう?

「浴衣汚れたらごめん」

「ううん、ハンカチ敷いたから」

空が暗くなってきた。

たこ焼きもまだ食べてないけど、かき氷が溶けてしまうから先に食べる。順番がめちゃくちゃで笑ってしまう。

「橘、いちごちょうだい」

「うん、いいよ」

「あー」

「……ええ!」

町田くんが口を開けて待っている。なんでこんなこと……!

「ええ!じゃねーよ。早く」

たまに、突然口が少し悪くなる。でもそういうところ、怖いっていうよりかわいいと思う。

「はい……」

一口いちご味をあげる。私ばっかり、恥ずかしい。

「橘もいる?」

「い、いらない!」

私はそっぽ向いて、残りのかき氷を流し込んだ。
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