龍使いの歌姫 ~神龍の章~
(絶対兄貴が繋ぎたかっただけだろ)

今度はゼイルが、心の中で呆れた。


「……変わってない」

住んでいた小屋は、全然変わっていなかった。

勿論、年月は経っているので、草はぼうぼうだし、蔓は柱に絡み付いているが、暖かさのある小屋は、あの頃のままだ。

レインは一歩、小屋へと近付く。

すると―。

「止まれ」

アルの静かな制止が、レインの動きを止めた。

「?どうしたの?アルの顔怖いの」

ティアが心配そうにゼイルを見上げると、ゼイルは口元に指を当て、静かにするようティアに伝える。

「アル?」

「………そこにいるんだろ?出てきたらどうだ?」

アルはレインを後ろに下げ、小屋の先を見る。

すると―。

「勘が良いのは変わってないな」

「お前は……竜騎士!」

レイン達の前に現れたのは、もう何度も会っている竜騎士だ。

レイン達にとっては、四年ぶりの再会となるだろう。出来れば再会などしたくなかったが。

「………」

レインの姿を見て、竜騎士は少しだけ安堵したように、表情を和らげた。

あの日、もしかしたらレインは死んでしまったかもしれないと思ったのだ。

「……生きていたか」

「?」

ぼそりと呟いた声は、レインには聞こえなかったらしく、レインは訝しげな視線を竜騎士に送る。

「何であんたがここにいんだよ」

「……龍か。人の真似事を出来るほど、お前の能力が高いとは思わなかったな」

ゼイルの質問に答えず、竜騎士は大剣を抜いた。
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