龍使いの歌姫 ~神龍の章~
「……何をしているんだ?」

「ちょっと考え事」

アルはレインより二つ歳上(ここに来て、アルから聞いた)で、もう成人も過ぎている。

背も更に伸び、だが髪の長さは肩より少し上の長さで、相変わらず女の子に見える。

短い髪は逆に似合わない顔立ちなので、その長さが一番似合ってるといえば似合っているが、本人は気にしているらしい。

「私がここに来て、もう四年だね」

「そうだな。初めて会った時はちびだったのに。いや、今もちびだな」

アルに言われ、レインはどこか誇らしげに胸を張る。

「残念でした!私、一年くらい前から結構背が伸びたんだから!これでもうちびとは言わせないからね」

「僕よりは小さいことに代わりないだろ。だから、ちびで充分だ」

アルにバッサリと返され、レインは落ち込む。

膝を抱え込んで顔を埋め、背中からはどんよりとしたオーラが出ており、アルは少し焦った。

素直なレインは、素直に言葉を受け止める。なので、思いっきりぐっさり刺さったのだろう。

「……僕には、お前くらいの背の方が丁度良いけどな」

「……小さい……小さい……ちび……ちびすけ……はぁ」

ぼそりと呟かれたアルの言葉は、レインには届いておらず、ぶつぶつと呟いている。

「だから……お前は今のままでも、その、僕は―」

『レインいじめちゃ駄目なのー!!』

アルが話を続けようとすると、金色の龍が突進してきた。

「………っ!」

「?ティア?」

ティアはアルへと突進して、そのまま頭突きでもかますつもりだったのか、頭を突き出していた。

勿論、アルは軽く避けたが。

『レインー!大丈夫なのー?』

顔をレインへと寄せると、すりすりと頬擦りする。

大きくなって、鱗がカサカサと当たるが、それでもレインは嬉しそうにティアを撫でる。

可愛らしい声は女の子らしく、成龍になったティアはメスだった。

「うん。別に何もないよ?」

『でも、レイン落ち込んでたの!アルがいじめたの??』
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