龍使いの歌姫 ~神龍の章~
「神龍様を、救う……か」

「具体的に何をすればいいのかは、分からないけどね。まずは、神龍様の元へ向かわなきゃ」

レインは懐に隠していた、枷の鍵を取り出すと、アルの枷を外す。

「……ふぅ」

ようやく自由になった手を、アルは上にグッと伸ばした。

「……行くか?」

「うん」

「はい、ストップ」

アルとレインが頷きあうと、気の抜けるような緩い声が聞こえた。

「「!?」」

レインとアルが、同時に声の主を振り返る。

「……師匠?」

「……まだ、そう呼んでくれるんだね。レイン」

相変わらずの読めない笑みを浮かべながら、レオンは二人の前に立っていた。

「どうして………?」

「その質問の答えと、君が知りたがっていたことを伝えにね」

「エレイン!」

レオンがそう言って人差し指を立てると、竜騎士を連れたセレーナがやってきた。

「おや。主要人物が全員揃ったようだね。これは好都合だね」

「幻惑の魔法使い?!いつの間に城に」

セレーナの驚いた声に、レオンは笑みを深める。

「……貴様、やはり生きていたか」

「そりゃあね、いくら君が元龍でも、僕を殺すことは出来ないよ。何せ、僕は君よりも長生きだからね」

レオンはレインへと視線を戻す。

「僕が君を拾ったのはね、君が彼女に似ていたから。そして、君が神龍を救うと知っていたから」

「……どういうことですか?」

「その事を話すには、赤の民の長が、何故神龍を殺したのかを話さなきゃね」
< 58 / 76 >

この作品をシェア

pagetop