不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
 揺れる焔に向かって囁く。

「三割の力のままでは危ないのでしょう……? ね、ジリアン。わたしにできることは、本当になにもないの?」

 このまま終わってしまっていいのかと激しく自問自答した。

 ウィズ世界へ来た意味は? なにもないのか? 本当に?

 瞬きを繰り返したまゆこは暖炉から離れ、ベッド横の椅子の背に掛けてあったナイトガウンを身に付ける。

 フリルとドレープの多いナイトドレスも、それに合わせられたガウンも、今夜は亜麻色のものが用意されていた。絹なので肌触りも良く、シュルシュルと滑る。まゆこの髪がそこにふわりと載った。

 薄いガウンを羽織るだけでは、部屋の外へ出たら寒さが堪えそうだ。留めていないので髪は広がっていたが、暖が取れるほどではない。

 足下には、ぬくぬくとした室内履きが用意されていた。これは助かる。
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