不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
 人も家畜もペットも、馬や犬なども、獣も。自然の一部であり、しかも動くものはエネルギーを豊富に蓄えているので食べごたえがあって狙われやすいという。

 魔物に思考はないと言われている。脳髄自体があるのかどうかも不明だ。

 ひたすら食べてゆく。なにも残らない。最後には、木々も食らってゆく。恐ろしい連中だ。ウィズは障壁があってこそ守られている世界だった。

 まゆこは願う。

《雪の下で眠る木々たちよ。お願い、力を貸して。わたしたちをジリアンの元へ行かせて》

 雪の下から瞬く間に生えてくる樹木は、魔物たちを串刺しにしてまゆこを守る。

 まゆこの願いに応えて毒素を振りまく花が咲く。毒素は風を固め、生きているかのように魔物を取り囲んだ。そして消滅させてゆく。

 魔物は息絶えると灰になる。その時点で、彼らが食らったエネルギーは周囲に還元されていった。

 無理やり木々を働かせたような気がして後ろめたい気持ちがあったが、そうやって最後は消滅した魔物から気を取り戻せるなら――と願う。
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